前回の記事で、
【Gmailに特定の件名のメールが届いたらSlackに通知】
というタスクの自動化を[Zapier]で実現する方法を紹介しました。
こちらです↓

しかしその後、いろいろと実験していく中で、[Zapier]と同様のコンセプトの自動化(RPA)ツールである、[Microsoft Power Automate](旧:Microsoft Flow)でも同じことが、しかも[Zapier]よりも簡単に実現できることが分かりましたので、【Microsoft Power Automate版】の手順についても記録しておきます。
Contents
Microsoft Power Automate のいいところ
[Zapier]も[Power Automate]もコンセプトは同じようなものだとは思いますが、[Power Automate]のいいところは、なんといっても日本語対応という点です。
私は業務効率化のコンサルティングをお客様に提供するにあたり、[導入をサポートしたツールや業務フローを、以後、お客様自身がメンテナンスして継続的に活用できる]という状態にするということを念頭において対応しているのですが、どんなに良いツールでも、設定が英語だとなかなかそれは難しくなってしまいます。
その点、[Power Automate]は日本語対応していますので、かなり直感的に設定を行うことができます。
実際、以下に紹介する【Gmailに特定の件名のメールが届いたら→Slackに通知】という作業の自動化は、[Power Automate]を初めて使った私でも約5分で設定することができました。
[Zapier]はグローバルスタンダード的に利用されており、対応するWEBツールも多いので魅力的ではあるのですが、日本で中小企業が簡易に自動化ツールを活用することを考えると、[Power Automate]に軍配があがるのではないかと思います。
私としてはかなりの魅力と可能性を感じましたので、今後、突き詰めて研究していきたいと思っています。
では、本題です
前回やった下記の要件を、今度は[Power Automate]で実現してみたいと思います。
クライアントからのご相談:
-
- ホームページの問い合わせフォームから問い合わせが入った場合、特定の Gmail アドレスにメール通知が来るようにしている。
- しかし、みんなあまりそのメールを確認してくれない。
- 現在会社では Slack を主に使っており、Slackであればみんなちゃんと見てくれるので、問い合わせのメールが着信したらSlack のチャンネルに通知が飛ぶようにしたい。
- ホームページの問い合わせフォームから問い合わせが入った場合、特定の Gmail アドレスにメール通知が来るようにしている。
※なお、この要件は[Power Automate]の無料プランで対応可能な内容です。
問い合わせフォームからGmailへどんなメールが飛んできているか?
ホームページから問い合わせが入るとこんなメールが Gmail に着信します。
『お問い合わせフォームへ問い合わせがありました』
という件名のメールをSlackに通知したい、というのが今回の要件になります。
[Power Automate]で実現する方法
1)まずは、[Power Automate]にログインしてホーム画面を表示させます。
2)左のメニューから[作成]をクリック。
3)[空白から開始]の[自動フロー]を選択。
4)[自動フローの作成]の画面で以下の設定を行う。
- ①[フロー名]:任意のフロー名を付ける
- ②[フローのトリガーを選択してください]: Gmailという文言で検索する
- ③検索された選択肢から[新しいメールが届いたとき Gmail]を選択する。
- 設定後、[作成]ボタンをクリック。
5)Gmailへのサインイン(連携)を求められるので、該当のGmailアカウントでログインし、連携の要求を許可する。
6)[新しいメールが届いたとき]の内容を以下のように設定します。
※[詳細オプションを表示する]をクリックして詳細画面を開いておきます。
- ①[ラベル]:Inbox(受信トレイ)を選択します。
※Gmailの[受信トレイ]に着信するメールを対象とするという意味です。 - ②[件名]:『お問い合わせフォームへ問い合わせがありました』という件名の
メールを抽出したいので、その件名を入力します。
7)上記設定ができたら、Gmail側への設定は完了です。
画面下部の[新しいステップ]をクリックし、次はSlackの設定へ移ります。
8)[アクションを選択してください]の項目の検索窓に[Slack]と入力し検索。
Slackのアイコンが表示されますので、[投稿メッセージ Slack]をクリックして選択します。
9)対象のSlackスペースへのサインインを求められますので、サインインし、連携を許可します。
10)[投稿メッセージ]の項目で、通知を行うSlackのチャンネルと、投稿するメッセージの体裁を設定する。
①[チャネル名]:通知を行うSlackのチャンネル名を選択します。
②[メッセージテキスト]:上記チャンネルに投稿するメッセージ内容を決めます。
今回のケースでは、『新規問い合わせがありました』といった任意の文字列を入れた後、
該当のメール本文の一部を含めたかったので、動的コンテンツから【スニペット】を追加しています。
※動的コンテンツの追加は必要に応じていろいろ試してみて下さい。
この後の手順で、実際に通知されるメッセージのテストができます。
11)ここまででSlack側の設定も完了です。
[保存]をクリックしてこの自動フローを保存します。
12)フローの保存後、一旦[マイフロー]の画面に移動し、作成したフローが追加されていることを確認します。
↓作成したフローが存在します。
↓これをクリックすると、詳細が確認できます。
[状況]が オン になっており、動作中であることを確認しておきます。
13)ここで、このフローが正常に動作するかのテストを実施します。
事前準備として、該当のメール(今回のケースでは『お問い合わせフォームへ問い合わせがありました』という件名のメール)が、Gmailの受信トレイに存在していることを確認しておいて下さい。
※過去に受信したもので構いませんし、新たにテストメールを送信しておいてもよいです。
14)フローの詳細画面で、[編集]をクリックします。
15)フローの設定画面に遷移します。右上の[テスト]をクリックしてください。
16)[フローのテスト]の設定で、 [Gmailからのデータを使用]を選択し、[テスト]をクリックします。
17)しばらく待つと、テスト結果が表示されます。
※失敗した場合はここで失敗理由の確認もできます。(これは嬉しい機能!)
18)フローが正常に実行されましたので、Slackにメッセージが飛んでいるはずです。
チェックしてみましょう。
Slackの[問い合わせメール]のチャンネルにに通知が来ていました!
新規問い合わせの受信日時、お名前、メールアドレス、問い合わせ内容などが確認できますので、要件は満たした状態と言えるかと思います。
今後、新規に問い合わせが入ると、この動きが自動で行われることになります。
留意点
[Power Automate]は利用プランごとにタスク実行のサイクルが違います。
現在、無料版では[15分毎]にタスクチェックが行われますので、今回の例では、Gmailにメールが着信してからSlackに通知されるまで、最大で15分のタイムラグがあることに注意してください。
※プランごとの制限などについてはこちらを参考にさせていただきました。
https://www.cloudtimes.jp/dynamics365/blog/what-is-microsoft-power-automate.html
最後に
[Zapier]と比べると設定は格段に楽で、設定項目も日本語なので直感的に作業できます。
自動化系(RPA)の作業は実行して動いた時の気持ちの盛り上がりが最高です。
ぜひ試してみてください。
[Power Automate]でできることはまだまだ奥深いようですので、じっくり研究してみたいと思います。