【UiPath Studio X】ID/PWをアプリケーションにセキュアに受け渡す方法

業務効率化

UiPathでは、いろいろなアプリケーションへの【ログイン】の作業も自動化できます。

単純に、

・IDを入力するフィールドに文字列を書き込む
・PWを入力するフィールドに文字列を書き込む

という動作をUiPath上で設定すればよいだけです。

しかし、ここで一つの心配が頭をよぎります。

スポンサーリンク

UiPath上にPWを平文で設定するのはいかがなものか?

例として、『kintone』にログインする動作を自動化するケースを考えます。

▼kintoneのログイン画面はこちら

2020-03-17_21h36_35

このログイン画面をターゲットとして、UiPath上で[ログイン][パスワード]それぞれのフィールドに対して特定の文字列を入力するアクションを設定します。

ここでは例として、

ログイン名: Username
パスワード: 1234abcd

とします。

▼『UiPath Studio X』での設定例

[文字を入力]のアクションを使って、IDとPWを入力する設定をそれぞれ作成します。

2020-03-17_21h52_08

この設定を実行すれば、↓のようにID・PWの自動入力は簡単に実現できます。

2020-03-17_21h54_59

・・・しかし、

この方法では、UiPath上にPWを平文で記載しているのでいろいろなリスクが懸念されます。

対策:[Windows 資格情報]を利用する

(※Windows10の環境での対策です)

『UiPath Studio X』にセキュアな状態でPWを認識させるには、[Windows 資格情報]の機能を利用する方法があります。

[Windows 資格情報]とは↓
https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4026814/windows-accessing-credential-manager

簡単にいうと、[Windows 資格情報]の機能でkintoneのID/PWをセキュアな状態で保管し、それを『UiPath Studio X』で呼び出すことで、平文ではない状態でPWを設定することができます。

事前準備①:[Windows 資格情報]へID/PWを設定する(Windows10)

以下の手順で、様々なアプリケーションのログインID/PWを[Windows 資格情報]に保管することができます。
※今回はkintoneのログインID/PWを保管する手順を説明します。

・[スタート]を右クリックして[検索]を選択。

・検索窓に【資格情報マネージャー】と入力して、結果に表示されるアイコンをクリック。
2020-03-18_22h00_18

・[Windows資格情報]を選択し、[汎用資格情報の追加]をクリックします。

2020-03-18_22h04_49

・登録するID/PWの情報を次のように入力します。

①[インターネットまたはネットワークのアドレス]
『UiPath Studio X』で呼び出す際に分かりやすい名前を付けます。
この例では、【UiPath-kintone-IDPW】という名前で設定しました。

②[ユーザー名]
③[パスワード] ※平文でなく●●●とマスクされた状態で表示されます。

2020-03-18_22h11_45

・[OK]で登録を完了します。
汎用資格情報に登録されていることが確認できます。

2020-03-18_22h19_40

事前準備②:『UiPath Studio X』に【UiPath.Credentials.Activities】パッケージをインストールする

Windows資格情報を『UiPath Studio X』から参照するには、あらかじめ『UiPath Studio X』に追加のパッケージをインストールしておく必要があります。

追加するパッケージ:
UiPath.Credentials.Activities

▼追加パッケージのインストール方法

『UiPath Studio X』のメイン画面で、[パッケージを管理]をクリックします。

2020-03-18_22h33_17

①:[すべてのパッケージ]を選択
②:検索窓に[UiPath.Credentials.Activities]と入力
③:検索結果から[UiPath.Credentials.Activities]を選択

2020-03-20_06h40_34

[インストール]をクリック

2020-03-20_06h44_00

インストールが完了すると、[アクティビティ]の[その他]の中に、新しいアクティビティが追加されていることが確認できます。

2020-03-20_06h45_50

これで準備ができましたので、UiPathの具体的な設定を行っていきます。

kintoneへログインする動作の自動化(PWをセキュアに渡す)

『UiPath Studio X』で以下のように設計を行っていきます。

<STEP>
1)kintoneのログイン画面を開く
2)[Windows資格情報]に保管したID/PWを参照する設定を行う
3)[ログイン名]を入力
4)[パスワード]を入力
5)[ログインボタン]をクリック

1)kintoneのログイン画面を開く

・あらかじめkintoneのログイン画面をブラウザで開いておきます。
※今回はIEを使用しています。

2020-03-20_07h21_58

・[アプリケーション]から[アプリケーション/ブラウザーを使用]をドラッグ。

2020-03-20_07h16_29

・[アプリケーションを指定]をクリックし、開いておいたkintoneのログイン画面を選択します。

2020-03-20_07h23_35

・kintoneのログイン画面のウィンドウが【Window】と青く囲まれている状態でクリックします。

2020-03-20_07h24_51

・このように、該当のページがセットされていることを確認します。

2020-03-20_07h29_13

2)[Windows資格情報]に保管したID/PWを参照する設定を行う

・[アプリケーション]から[Get Secure Credential]のアクションをドラッグ。

2020-03-20_07h44_19

・[Get Secure Credential]のアクションが選択された状態で、[プロパティ]を開きます。

2020-03-20_07h46_08

・[target]の【+】ボタン ⇒ [テキスト]を選択して、[Windows資格情報]に登録したkintoneのID/PW情報を設定します。

※今回は【UiPath-kintone-IDPW】という名前で登録したので、それを入力します。

2020-03-20_07h49_52

▼事前に設定したこれです↓

2020-03-18_22h19_40

・次に、プロパティの[password]の【+】ボタンをクリックし、選択肢から[後で使用するために保存]を選択します。

2020-03-20_07h59_33

・[値に名前を付ける]で任意の名前を付けて保存します。
※今回は【kintone_Password】としました。後で使いますので覚えておいてください。

2020-03-20_09h28_31

・元の画面に戻ると、[データマネージャー]のセクションに、[保存された値]として、先ほど保管した【kintone_Password】が登録されていることが分かります。

2020-03-20_09h32_29

・同様に、[Get Secure Credential]のプロパティの[Username]の【+】ボタンをクリックし、選択肢から[後で使用するために保存]を選択し、同様に名前を付けて保存します。
※今回は【kintone_Username】としました。

2020-03-20_09h36_26

2020-03-20_09h37_34

この設定により、[Windows資格情報]に保管したID/PWを『UiPath Studio X』から参照することができるようになりました。
=PWを『UiPath Studio X』上に平文で記述しなくてもよくなりました。

3)[ログイン名]を入力

kintoneのログイン画面の[ログイン名]を自動入力する設定を行います。

・[アプリケーション]から[文字を入力]のアクションをドラッグ。

2020-03-20_07h30_22

・[ターゲットを指定]をクリック

2020-03-20_07h31_59

・ログイン名の入力フィールドをターゲットに指定し【確認】をクリックします。
※アンカーは設定しなくても大丈夫です。

2020-03-20_07h37_28

・このように、セットされていることを確認します。

2020-03-20_07h39_41

・[これを入力]のラジオボタンの【標準】が選択された状態で、【+】ボタンをクリックし、[保存された値を使用]→[kintone_Username]を選択します。

2020-03-20_09h59_55

▼[kintone_Username]がセットされます。

※このことにより、kintoneのログイン名入力のフィールドへ、UiPathから直接IDを渡すのではなく、[Windows資格情報]を経由して入力することができます。

2020-03-20_10h02_42

4)[パスワード]を入力

続いて、パスワードを入力する動作を設定します。
途中まではログイン名の設定と同じです。

・パスワードのフィールドに文字を入力するアクションを作成します。

2020-03-20_10h09_24

・[これを入力]の設定を行っていきますが、パスワードの場合、まず、ラジオボタンのチェックを【セキュア】に変更します。
※ここが重要です。

2020-03-20_10h10_50

・【+】ボタンをクリックし、[保存された値を使用]→[kintone_Password]を選択します。

2020-03-20_10h13_20

▼[kintone_Password]がセットされます。

※このことにより、kintoneのログイン名入力のフィールドへ、UiPathから直接PWを渡すのではなく、[Windows資格情報]を経由してセキュアに入力することができます。

2020-03-20_10h14_20

5)[ログインボタン]をクリック

最後に、kintoneのログイン画面の【ログイン】ボタンをクリックする設定を追加します。

・[アプリケーション]から[クリック]のアクションをドラッグ。

2020-03-20_10h16_44

・ターゲットに[ログイン]ボタンを指定し、[確認]をクリックします。

2020-03-20_10h18_26

・このように設定されればOKです。

2020-03-20_10h20_07

以上で設定はすべて完了です。
動作テストをしてみましょう。

動作テスト

まずはここまでの設定を保存します。

2020-03-07_07h34_42

次に、現在開いているブラウザや他のアプリを閉じます。
※なにも開いていない状態からテストするのが良いと思います。

そして、『UiPath Studio X』上の【▶:実行】のボタンをクリックします。

↓テスト動画(BGM付きです)

【UiPath Studio X】 kintoneログインの自動化

まとめ

完全に個人でロボットを利用する分には気にしなくてもよいかもしれませんが、そうでない場合、『UiPath Studio X』上でのID/PWの取り扱いは注意したほうがよいと思います。

今回の内容はこちらのページを参考に、『UiPath Studio X』での設定手順をまとめてみました。

UiPath | 404

お問い合わせ

ご質問等がありましたら、HPのお問い合わせフォームよりお知らせください。

タイトルとURLをコピーしました